ブログ

Blog

「地役権」とは?~地上権との違いや不動産取引への影響について解説!~

土地に関する権利には、「地役権(ちえきけん)」というものがあります。

これは、自分の土地をより便利に利用するために、他人の土地を利用する権利です。地役権に似た権利として「地上権(ちじょうけん)」というものがありますが、その性質や使われ方には明確な違いがあります。

今回は、土地の「地役権」について、「地上権」との違いや、不動産取引にもたらす影響などについて解説します!

目次

「地役権」とは?

地役権とは、自分の所有する土地(要役地)をより便利に使うために、隣接地など他人の土地(承役地)の一部を利用できる権利のことです。
ただし、どんな用途にも使えるわけではなく、あらかじめ定めた目的の範囲に限られます。
--------------------------------------------------------------------------
(例)
「自分(A)の土地はある公道に面しているが、自宅から駅に行くためにその公道を通ると、遠回りになってしまう。しかし、隣に住んでいるBの土地を通って別の公道に出ると、駅までの道が大幅に短くなるため、地役権を設定してBの土地を利用できるようにした」(※通行地役権)
--------------------------------------------------------------------------
地役権は、売買契約や贈与契約などによる、当事者同士の合意があれば成立するもので、存続期間や使用料についても当事者間で自由に定めることができます。
また、この権利を第三者に対して主張するためには、原則として登記が必要になります。
地役権の登記がされていれば、承役地の所有者(例でいうB)が変わったとしても、要役地の所有者(例でいうA)はこれまでどおり承役地を利用できます。

地役権が登記されたBの土地を購入した新しい所有者も、その地役権を受け入れなければなりません。
利用に対して使用料が定められている場合には、Bの土地の新しい所有者は、Aへ対価の支払いを求めることができます。

主な地役権の種類

通行地役権(つうこうちえきけん)

「通行」という目的のために設定される地役権のこと。
先述した(例)のようなケースで設定されます。

囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)

自分の土地が、他人の土地に囲まれて公道に接していない「袋地」の場合に、土地を囲んでいる他人地(囲繞地)を通行できる権利のこと。
「囲繞地通行権」は、袋地の所有権に付随する権利のため、「袋地」と「囲繞地」という関係性が証明できれば自動的に発生するものであり、登記は不要です。

💡通行する範囲は、囲繞地の所有者にとって負担が少なくなるように配慮する
💡囲繞地を通行する場合には、その土地の所有者へ対価の支払いが必要

※元々公道に面していた土地が、分筆の結果「袋地」になった場合、袋地の所有者は分筆した側の土地を通行する事となり、対価の支払いは不要!

送電線路敷設地役権(そうでんせんろふせつちえきけん)

他にも、送電線などを通すために、電気事業者が他人の土地や上空を利用する「送電線路敷設地役権」というものがあります。
送電線を設置する電気事業者は、土地の上空であっても、その土地の所有者から承諾を得なければなりません。

また、この権利を第三者に対して主張するためには、原則として登記が必要になります。
土地の所有者は、建物の高さ制限など、土地利用に一定の制限を受けることがありますが、対価として電力会社から補償料が支払われるケースが多いです。
権利の存続期間については、当事者間の契約で定めることができます。

《通行地役権と囲繞地通行権の違い》

通行地役権と囲繞地通行権には、契約の要件や通行できる範囲などに違いがあります。

地役権のメリット・デメリット

地役権は便利な制度ですが、設定される土地(承役地)側にはメリットとデメリットの両面があります。

〈メリット〉

• 地役権を設定することで、使用料などの対価を受け取れるケースがある
(特に「送電線路敷設地役権」が設定されている場合には、使用料が支払われることが比較的多く見られる)

• 地役権が付いている土地は、評価額が下がる傾向があるため、それに伴って固定資産税などの税負担が軽減される可能性がある

〈デメリット〉

• 通行や設備の設置により、自由な建築や土地利用が制限される

• すでに地役権が設定されている土地は、売却価格が下がる傾向がある

• 承役地の新所有者は、前の契約内容を引き継がなければならない

「地上権」との違い

「地上権」とは、借地権の一種に分類されるもので、他人が所有する土地を利用できる権利です。他人の土地を使えるという点については地役権と共通していますが、性質や使われ方には明確な違いがあります。

---------------------------------------------------------------------------
〈土地の利用目的〉
地役権:自分の土地の利便性を向上させるため
地上権:建物や工作物などを所有するため

〈土地の利用範囲〉
地役権:一定の目的の範囲内に制限される
    (例:通行の為なら、通行の目的のみで利用可能)
地上権:土地所有者の承諾なしに、建物の建築や増改築、売却、譲渡、転貸など可能

〈権利のみを切り離して単独で売却〉
地役権:できない(要役地に付随するため)
地上権:できる
---------------------------------------------------------------------------

地役権が不動産売買に与える影響

地役権が設定されている土地は、利用できる範囲が限定されるため、売却を考えたときに、資産価値が下がる可能性があります。

不動産価値への影響

地役権が付いている土地では、その範囲を自由に使うことができないため、結果として土地の利便性が下がり、売却価格が下がるケースが一般的です。
さらに、設定されている地役権の内容によっては、購入をためらう人も出てくるため、売却そのものが難しくなる可能性もあります。

地役権を認める際には、利用範囲・条件・対価などを慎重に検討することが重要です!

地役権付き不動産を売買する際の注意点

地役権は、登記を行っていなければ、通常、第三者に主張することができません。
しかし、要役地の所有者が通路として整備し、誰が見ても日常的に利用されていることがわかる状態の場合、承役地の新しい所有者に対して、登記がなくても地役権が有効であると判断した判例があります。
つまり、登記がされていなくても、新しい所有者は従来通り要役地側の通行や利用を認めなければならない可能性があるということです。

そのため、売却契約を結ぶ際には、購入希望者に地役権が存在することを明確に説明し、権利関係をそのまま引き継いでもらえるよう合意をとる必要があります。

まとめ

地役権は自分の土地を便利にするための補助的な権利であり、登記や契約内容をしっかり理解しておくことが大切です。地役権と地上権は似ているようで、利用目的や権利の独立性が大きく異なります。
地役権の設定は、不動産の価値や、売却にも影響を与えるため、不動産取引の前には必ず登記内容を確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう!

-------------------------------------------------
この記事を読む皆様が納得のいく不動産売却ができるように切に願っております。
福岡市東区・糟屋郡の不動産売却、不動産購入
不動産関係で何かお困りのことがあれば、小さなことでも是非弊社までご連絡ください!

↓↓↓無料査定は下記リンクをクリック!↓↓↓

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ