不動産における『心理的瑕疵』とは?
不動産の取引において、「心理的瑕疵」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
心理的瑕疵とは、建物や土地そのものに物理的な欠陥があるわけではないのに、過去に起きた出来事などが原因で、購入希望者に心理的な抵抗を抱かせる要素のことです。
今回は、不動産の心理的瑕疵について詳しく解説します!

目次
- ○ そもそも「瑕疵(かし)」とは?
- ・①物理的瑕疵
- ・②法律的瑕疵
- ・③環境的瑕疵
- ・④心理的瑕疵
- ○ 心理的瑕疵の判断基準とは?
- ・告知が必要となるケース
- ・告知が不要とされるケース
- ○ 他の瑕疵との違い
- ・1.告知期間が明確でない(売買の場合)
- ・2.追完請求が現実的でない
- ○ 注意点すべきポイント
- ・⚠告知しないと契約不適合責任に問われる可能性がある!
- ・⚠市場価格が下がる傾向がある!
- ○ 売主が取るべき対応
- ・💡事実を正確に整理する
- ・💡仲介業者に必ず相談する
- ・💡書面で適切に説明する
- ○ まとめ
そもそも「瑕疵(かし)」とは?
瑕疵とは、本来備わっているべき品質や機能が欠けている状態を指します。
不動産分野においては主に次の4つに分類されます。
①物理的瑕疵

土地や建物そのものに関する欠陥のこと
比較的客観的に判断しやすく、修繕や補修により改善できる場合が多いです。
〈建物〉-----------------------
・雨漏りや水漏れ
・壁のひび割れ
・シロアリ被害 など
---------------------------------
〈土地〉-----------------------
・地中埋設物
・土壌汚染
・地盤沈下 など
---------------------------------
②法律的瑕疵
法律や条例などの制限により、自由な利用が妨げられていたり、法令に違反したりしている状態のこと
例としては、
・建築基準法に違反している
(接道義務を満たしていないなど)
・市街化調整区域で原則建築できない土地
などが該当します。
⚠建築基準法や都市計画法に抵触する状態であるにも関わらず、問題がないかのように売却してしまうとトラブルの原因となるため、注意が必要です!
③環境的瑕疵

物件自体ではなく、周辺環境に関する問題があること
例としては、
・近隣建物からの騒音、振動、異臭、日照・眺望障害がある
・高圧線、墓地、廃棄物処理施設、反社会的勢力の拠点施設などが近隣に存在する
などが該当します。
環境的瑕疵は、場合によっては購入希望者に恐怖心などの心理的抵抗を生じさせる可能性があり、心理的瑕疵として扱われることもあります。
④心理的瑕疵
過去の出来事により、居住に心理的な抵抗を生じさせる要素があること
例としては、過去に
・自殺や他殺が起きた
・事件性のある事故が起きた
・火災が発生した
・特殊清掃が必要となる孤独死があった
などが挙げられ、こうした物件は一般的に「事故物件」と呼ばれます。
また、③環境的瑕疵でも述べた通り、近隣に墓地や刑務所などの嫌悪施設や、反社会的勢力の拠点施設が存在している場合も、心理的瑕疵として扱われることがあります。
なお、老衰などの自然死は原則として心理的瑕疵に該当しませんが、発見が遅れたことで特殊清掃を要した場合は、告知が必要と判断されることがあります。
心理的瑕疵の判断基準とは?

心理的瑕疵は、人によって感じ方が異なるため判断が難しいといわれます。
ただし、まったく基準がないわけではありません。
判断の基本は「通常の一般人がどう感じるか」という客観的視点です。
社会通念上、居住に適さないと感じられる事情があるかどうかがポイントになります。
特定の買主の主観的な感情だけで判断するわけではなく、あくまで一般的な感覚が基準となります。
告知が必要となるケース
売主には、買主に対して重要な事実を正確に伝える義務があります。
現在は、2021年に国土交通省が公表した『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』が実務上の基準とされており、このガイドラインでは、特に次のようなケースは原則として告知が必要とされています。
① 自殺・他殺
原則として告知が必要
経過年数にかかわらず、買主の判断に重要な影響を及ぼす可能性が高いとされている
② 事故死(特殊な事情がある場合)
通常の病死や老衰は告知不要とされているが、事故死や特殊な状況がある場合は告知対象となる可能性がある
③ 孤独死などで特殊清掃が行われた場合
自然死や病死であっても、長期間発見されず、特殊清掃が必要になった場合は、取引判断に影響を与える可能性があるため、告知が必要とされる
告知が不要とされるケース
一方で、すべての死亡事案が告知対象になるわけではありません。
・老衰や持病による自然死
・日常生活の中での転倒など、通常想定される事故
・賃貸住宅において、一定期間(おおむね3年)が経過した自然死等
などは、原則として告知不要とされています。
ただし、これはあくまで一般的な目安であり、個別事情によって判断が分かれることもあります。
また、売買の場合は告知期間が明確ではないため注意が必要です!
他の瑕疵との違い
1.告知期間が明確でない(売買の場合)
心理的瑕疵以外の瑕疵は、修繕などで解消できれば告知不要となる場合がありますが、心理的瑕疵は物理的に消すことができません。
また、告知期間について、『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』では、賃貸の場合「おおむね3年」が一つの目安とされていますが、売買については明確な年数は示されていません。
過去の裁判例では、数年で告知不要とされたケースもあれば、数十年前の出来事でも説明義務が認められた事例もあり、個別判断となります。
2.追完請求が現実的でない
物理的瑕疵などの場合、修繕を求める「追完請求」が可能ですが、心理的瑕疵は修理できる性質のものではありません。
そのため、問題があった場合は、契約解除や損害賠償請求といった形での対応が想定されます。
注意点すべきポイント

⚠告知しないと契約不適合責任に問われる可能性がある!
2020年の民法改正により、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に改められました。
契約内容に適合しない物件を引き渡した場合、売主は責任を負う可能性があります。
告知すべき事項を伝えず、買主が「その事実を知っていれば購入しなかった」と主張した場合、代金減額や契約解除、損害賠償などを請求されることがあります。
特に近年はインターネットやSNSの普及により、過去の情報が後から判明するケースも少なくありません。
告知を怠ることは、結果的に大きなリスクを抱えることになるため注意が必要です。
⚠市場価格が下がる傾向がある!
心理的瑕疵がある物件は、一般的に相場より価格が下がる傾向があります。
ただし、
• 事故からの経過年数
• 事件の社会的影響
• 立地条件
• 建物の状態
などによって下落幅は異なります。
建物を解体して更地にすることで影響が軽減される場合もありますが、費用とのバランスを慎重に検討する必要があります。
売主が取るべき対応

心理的瑕疵が疑われる場合、自己判断で「大丈夫だろう」と考えるのは危険です。
次の対応を意識することが重要です。
💡事実を正確に整理する
いつ、どこで、どのような出来事があったのかを客観的に整理します。
あいまいな記憶ではなく、事実ベースで確認することが重要です。
💡仲介業者に必ず相談する
ガイドラインに照らして告知の要否を判断するためには、宅地建物取引業者の専門的な判断が必要です。
必ず事前に相談しましょう!
💡書面で適切に説明する
告知が必要な場合は、重要事項説明書などの書面で適切に説明することが基本です。
口頭のみの説明はトラブルの原因になります。
まとめ

心理的瑕疵があるからといって、必ずしも売れないわけではありません。価格調整や販売方法の工夫により、取引が成立するケースもあります。
重要なのは、「隠す」のではなく「適切に開示する」ことです。
透明性のある取引を行うことが、結果としてスムーズな売却につながります。
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